2023 11thqbio session3
From Japanese society for quantitative biology
セッション3「生物デザインの理解と再構成」
1/7 10:00-12:00
Chair: 未定
10:30-11:00 力学と化学の連携による細胞パターン形成
- 茂木 文夫 (北海道大学)
- 要旨:生物が卵から個体に至る過程では、様々な細胞が固有の運命・形・機能を獲得する。この形態形成では、細胞が「機械的な力」を感知・応答する現象が重要であることが近年発見された。力作用は、細胞内で不均一に分布し一見不規則な変動を示すが、最終的に細胞に規則的なパターンを確立させる。力作用が細胞内化学反応と連携して細胞の運命・形・機能を制御するメカニズムを解明する試みとして、線虫初期発生をモデル系とした一連の研究を紹介する。受精卵は、精子由来因子によって細胞内力作用を対称から非対称に転換し(文献1−3)、この力作用の非対称性が運命決定因子のパターン形成を誘導する(文献4−6)。本公演では更に、細胞間コミュニケーションを介した初期胚パターニングを解析する新規手法に関しても紹介することで、将来展望を議論したい。
- 参考文献
- [1] Nat. Cell. Biol. (2006) doi: 10.1038/ncb1459
- [2] Nat. Cell Biol. (2011) doi: 10.1038/ncb2354
- [3] Dev. Cell (2019) doi: 10.1016/j.devcel.2019.05.010.
- [4] Nat. Cell Biol. (2017) doi: 10.1038/ncb3577
- [5] Nat. Chem. Biol. (2018) doi: 10.1038/s41589-018-0117-1
- [6] Cell Rep. (2021) doi: 10.1016/j.celrep.2021.109326.