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+ | *坪井 有寿 (理化学研究所) | ||
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Revision as of 12:17, 7 December 2023
セッション3「生物デザインの理解と再構成」
1/7 10:00-12:00
Chair: 未定
10:30-11:00 力学と化学の連携による細胞パターン形成
- 茂木 文夫 (北海道大学)
- 要旨:生物が卵から個体に至る過程では、様々な細胞が固有の運命・形・機能を獲得する。この形態形成では、細胞が「機械的な力」を感知・応答する現象が重要であることが近年発見された。力作用は、細胞内で不均一に分布し一見不規則な変動を示すが、最終的に細胞に規則的なパターンを確立させる。力作用が細胞内化学反応と連携して細胞の運命・形・機能を制御するメカニズムを解明する試みとして、線虫初期発生をモデル系とした一連の研究を紹介する。受精卵は、精子由来因子によって細胞内力作用を対称から非対称に転換し(文献1−3)、この力作用の非対称性が運命決定因子のパターン形成を誘導する(文献4−6)。本公演では更に、細胞間コミュニケーションを介した初期胚パターニングを解析する新規手法に関しても紹介することで、将来展望を議論したい。
- 参考文献
- [1] Nat. Cell. Biol. (2006) doi: 10.1038/ncb1459
- [2] Nat. Cell Biol. (2011) doi: 10.1038/ncb2354
- [3] Dev. Cell (2019) doi: 10.1016/j.devcel.2019.05.010.
- [4] Nat. Cell Biol. (2017) doi: 10.1038/ncb3577
- [5] Nat. Chem. Biol. (2018) doi: 10.1038/s41589-018-0117-1
- [6] Cell Rep. (2021) doi: 10.1016/j.celrep.2021.109326.
10:30-11:00 細胞外マトリックスの時空間制御による上皮組織形態形成機構の解明
- 坪井 有寿 (理化学研究所)
- 要旨:規則的な器官形状を生み出す仕組みは、発生生物学における重要な未解明問題の一つである。一般的な発生過程において、組織は細胞外マトリックスや他の組織などの周辺構造物と物理的に接触し、限られた空間に配置されている。そのため、周辺構造物による空間的な制約の影響で、組織は成長すると必然的に座屈する。しかし、座屈による受動的な組織変形はパターンの制御が難しく、規則的な器官形状を保証する仕組みは明らかではない。我々は、ショウジョウバエ蛹期に観察される規則的な翅組織の折れたたみ構造に着目し、細胞頂端側細胞外マトリックス(aECM)タンパク質であるDumpyが組織の特定の位置と外側のクチクラをつなぎとめることで、通常は不安定な折れたたみを生む座屈の位置と方向を制御し、規則的な折れたたみ構造が形成されることを見出した。さらに、座屈方向の制御が終わったあと、Dumpyは翅のスムーズな変形を妨げないようにプロテアーゼによって分解されることも見出した。興味深いことに、Dumpyの分解は、常に翅の特定の領域から全体へと広がる動態を示した。遺伝的にDumpyの分解の時空間動態を改変すると、折れたたみパターンが異常になることから、規則的な折れたたみパターンの制御には、分解の時空間的な制御も重要であることが示唆された。これらの結果から、時空間的なECMのリモデリングにより、組織と周辺構造物がダイナミックに相互作用し、規則的な組織の折れたたみを制御するという新規の形態形成メカニズムを提唱する。本講演では、そのようなECMのリモデリングにより実現する形態形成メカニズムについて、定量画像解析の結果などを交えながら議論したい。