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*中江 健(自然科学研究機構・生命創成探究センター) | *中江 健(自然科学研究機構・生命創成探究センター) | ||
*要旨:コモンマーモセットと呼ばれる霊長類に対して、MRIや様々なモダリティで全脳にわたる構造や機能的な情報が革新脳とよばれるプロジェクトで取得されてきた。今回の講演では、まず革新脳で得られた大規模なMRIデータについての解説を行う。さらに、マーモセットのMRIから計測された脳内の構造的なネットワークと機能的なネットワークをつなげる数理モデルを導入する。このモデルを導入することにより、MRIの情報から興奮と抑制性のバランスを推定する。さらに、構造的な情報として興奮性細胞と抑制性細胞を特徴ずれるAMPAとGABAに関連した脳内の遺伝子発現情報をin situ Hybrydizationの技術を用いて取得して、モデルの改善を行う。これにより、脳内で局所的に変化する興奮抑制バランスを取り込んだうえでの、脳機能ネットワークの予測が可能になる。 | *要旨:コモンマーモセットと呼ばれる霊長類に対して、MRIや様々なモダリティで全脳にわたる構造や機能的な情報が革新脳とよばれるプロジェクトで取得されてきた。今回の講演では、まず革新脳で得られた大規模なMRIデータについての解説を行う。さらに、マーモセットのMRIから計測された脳内の構造的なネットワークと機能的なネットワークをつなげる数理モデルを導入する。このモデルを導入することにより、MRIの情報から興奮と抑制性のバランスを推定する。さらに、構造的な情報として興奮性細胞と抑制性細胞を特徴ずれるAMPAとGABAに関連した脳内の遺伝子発現情報をin situ Hybrydizationの技術を用いて取得して、モデルの改善を行う。これにより、脳内で局所的に変化する興奮抑制バランスを取り込んだうえでの、脳機能ネットワークの予測が可能になる。 | ||
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− | * | + | *德田 有矢(京大・ヒト生物学高等研究拠点) |
*要旨:哺乳類のゲノムや遺伝子は塩基配列として良く保存されているが、種差により、それぞれの種の個々の細胞における遺伝子発現や機能、エピゲノムには差異がある。細胞レベルのゲノム・エピゲノム情報はオミクスデータと呼ばれるビッグデータを形成しているが、種ごとに遺伝子をはじめとする特徴量が異なり、包括的に比較解析する手法は確立されていない。本講演では、複数種のオミクスデータを、Gromov-Wasserstein最適輸送理論を用いて比較解析する手法を提案し、哺乳類の生殖細胞誘導系への適用結果を報告する。 | *要旨:哺乳類のゲノムや遺伝子は塩基配列として良く保存されているが、種差により、それぞれの種の個々の細胞における遺伝子発現や機能、エピゲノムには差異がある。細胞レベルのゲノム・エピゲノム情報はオミクスデータと呼ばれるビッグデータを形成しているが、種ごとに遺伝子をはじめとする特徴量が異なり、包括的に比較解析する手法は確立されていない。本講演では、複数種のオミクスデータを、Gromov-Wasserstein最適輸送理論を用いて比較解析する手法を提案し、哺乳類の生殖細胞誘導系への適用結果を報告する。 | ||
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Latest revision as of 08:50, 9 January 2025
セッション2 「生命を解く~解析~」
1/12 14:30-16:30
Chair: 塚田祐基(慶大)
14:30-15:00 数理モデルで読み解く細胞変形と多細胞動態
- 斎藤 稔(広大・統合生命科学研究科)
- 要旨:細胞の形状は、生体組織の発生、成長、恒常性維持などにおいて、時に激しく変形する。例えば高密度の組織中では、細胞は周囲の細胞からの力学的相互作用により能動的・受動的な変形を示す。また免疫細胞などの遊走性細胞では仮足が自発的・継続的に生成される。個々の細胞の変形が集団や組織全体に与える影響を理解するためには、自由な変形を記述でき大規模な細胞集団を扱えるような柔軟な数理モデルが必要となる。 我々は細胞輪郭をフーリエ基底を用いて表現するフーリエ輪郭モデルを提案し、多数の変形細胞の高速計算を可能にした。この手法を用いると、一万個程度の自由変形可能な細胞を数値計算することが可能となる。提案手法を用いて、排除体積効果を介して力学的相互作用する高密度の自己駆動変形細胞集団の解析などを行い、細胞集団中の多様な流動的挙動を明らかにした。 また提案モデルはphase-field方程式の縮約表現としても導出することができる。phase-field方程式は様々な細胞形状動態の記述に用いられてきたが、計算量コストが大きいという問題があり、多細胞動態への応用は限定的であった。提案手法を用いると、圧倒的に高速度でphase-field方程式と同等の計算を行うことが可能である。講演では提案手法を様々な細胞集団挙動の解析へと応用した事例を紹介する。
- 参考文献
15:00-15:30 革新脳データベースに基づく全脳モデル解析
- 中江 健(自然科学研究機構・生命創成探究センター)
- 要旨:コモンマーモセットと呼ばれる霊長類に対して、MRIや様々なモダリティで全脳にわたる構造や機能的な情報が革新脳とよばれるプロジェクトで取得されてきた。今回の講演では、まず革新脳で得られた大規模なMRIデータについての解説を行う。さらに、マーモセットのMRIから計測された脳内の構造的なネットワークと機能的なネットワークをつなげる数理モデルを導入する。このモデルを導入することにより、MRIの情報から興奮と抑制性のバランスを推定する。さらに、構造的な情報として興奮性細胞と抑制性細胞を特徴ずれるAMPAとGABAに関連した脳内の遺伝子発現情報をin situ Hybrydizationの技術を用いて取得して、モデルの改善を行う。これにより、脳内で局所的に変化する興奮抑制バランスを取り込んだうえでの、脳機能ネットワークの予測が可能になる。
- 参考文献
15:30-16:00 最適輸送理論を用いたオミクスデータ解析による種差解明
- 德田 有矢(京大・ヒト生物学高等研究拠点)
- 要旨:哺乳類のゲノムや遺伝子は塩基配列として良く保存されているが、種差により、それぞれの種の個々の細胞における遺伝子発現や機能、エピゲノムには差異がある。細胞レベルのゲノム・エピゲノム情報はオミクスデータと呼ばれるビッグデータを形成しているが、種ごとに遺伝子をはじめとする特徴量が異なり、包括的に比較解析する手法は確立されていない。本講演では、複数種のオミクスデータを、Gromov-Wasserstein最適輸送理論を用いて比較解析する手法を提案し、哺乳類の生殖細胞誘導系への適用結果を報告する。
- 参考文献
16:00-16:30 TBA
- 小島 諒介(京大・医学研究科)
- 要旨:TBA