2023 11thqbio tutorial

From Japanese society for quantitative biology

チュートリアル 1/6午前

10:00-11:00 Marrの3基準と計算論的生命科学

  • 本田直樹(広島大学+自然科学研究機構生命創成探究センター)
  • 要旨:我々は生命現象を目の当たりにした際、知性と呼べるような「あたかも目的を持っているかのような合目的性」を感じるのはなぜだろうか?これまでの、分子・細胞レベルの物理現象としての数理モデリング研究が盛んになされてきたが、このような数理モデルから、生命に宿る知性や生命らしさを見出すことは困難であった。それは、生命体が進化を通じて獲得した柔軟な情報戦略をモデル化できていないことが原因であると考えられる。David Marrは、脳の情報戦略を理解するためには、脳を情報処理システムとして捉え、以下の3つの基準を提唱した(Marr, Vision, 1982)。(1)計算理論:脳の計算の目的は何か?何を最適化しているのか? (2)表現とアルゴリズム:脳は何を入力として受け取り、何を出力しているのか?どのような情報処理(入力から出力への変換)を行っているのか?(3)ハードウェア実装:情報処理が分子・細胞でどのように実装されているのか?この「Marrの3基準」は、視覚情報処理や小脳運動学習の理解に大きく貢献し、計算論的神経科学の基礎となっている。一方、神経科学を除く生命科学一般においては、Marrの考え方はほとんど浸透してこなかった。その理由は、従来の生命科学では生命の物質的基盤を明らかにすることに精力が注がれてきたことにある。しかし、細胞や組織も外部シグナルを内部で処理し、移動・分化などの意思決定を行っている情報処理システムであることに疑いはない。したがって、Marrの3基準に基づいた研究を、神経系のみならず細胞・組織レベルにも展開することで、生命の物質的理解から情報論的理解へと転換できるのではと思う。本チュートリアルでは、Marrの3基準とそれに基づく計算論的“神経”科学について解説し、そのアプローチがどのように生命科学全般へと展開できるのかについて議論したい。
  • 参考文献
    • [1] ビジョン―視覚の計算理論と脳内表現、デビッド マー (著)
    • [2] 脳の計算理論、川人光男 (著)
    • [3] 計算論的神経科学、田中宏和 (著)

11:00-12:00 研究を加速する生成AIの活用

  • 二階堂 愛(東京医科歯科大学・理化学研究所)
  • 要旨:本講演では、研究活動の効率化のために大規模言語モデル(LLM: Large Language Models)のような生成AIの利用について学びます。初めに、生成AIの仕組みとその研究活動への応用の可能性を紹介します。特に、ChatGPTやそれに類するモデルやサービスを用いた論文要約、執筆支援、翻訳、文献検索の効率化について詳述します。次に、GitHub Copilotのようなツールを用いたデータ解析プログラムの自動プログラミング支援に焦点を当て、これがどのように研究者の作業効率を向上させるかを解説します。この講演を通じて、研究者が生成AIをどのように実践的に活用できるかについての具体的な方法を提供することを目指します。この文章はChatGPT-4によってだいたい生成されました。


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