Difference between revisions of "年会2009チュートリアル3"
(→背景) |
(→背景) |
||
Line 1: | Line 1: | ||
==第一回年会 (チュートリアル3)実験家向け理論の基礎== | ==第一回年会 (チュートリアル3)実験家向け理論の基礎== | ||
=== 背景 === | === 背景 === | ||
− | + | 分子生物学は私たちの生命現象の理解に大きく貢献してきました。しかし一方で、一部の実験生物学者は、分子と分子が→でつながったダイアグラム以外に生命を見通す方法を失いつつあるのではないでしょうか。こうした分子生物学的生命観からの揺り戻しのように、近年、生命科学の各分野で数理・情報論を取り入れて生命現象のダイナミクスを捉える研究の流れが起こっています。しかし、日本ではこのような研究の発展が海外に比べて大きく後れているのが現状です。日本で理論・実験の融合型研究が立ち後れている原因の一つは、日本では一本の道を究めるプロが高く評価されて、幅広い分野の知識をもとにフットワークを軽く分野を飛び移っていくような人材があまり評価されないという一般的な構造が挙げられるでしょう。より具体的な原因は、日本の大学や大学院では分子生物学をベースとした生命科学以外の教育を受ける機会があまりに少ないことにあるでしょう(生物物理や電気生理のラボに所属しないかぎり、基礎的な物理や数学の知識を習得する機会はほとんどありません)。 | |
=== 目的 === | === 目的 === |
Revision as of 17:31, 25 October 2008
第一回年会 (チュートリアル3)実験家向け理論の基礎
背景
分子生物学は私たちの生命現象の理解に大きく貢献してきました。しかし一方で、一部の実験生物学者は、分子と分子が→でつながったダイアグラム以外に生命を見通す方法を失いつつあるのではないでしょうか。こうした分子生物学的生命観からの揺り戻しのように、近年、生命科学の各分野で数理・情報論を取り入れて生命現象のダイナミクスを捉える研究の流れが起こっています。しかし、日本ではこのような研究の発展が海外に比べて大きく後れているのが現状です。日本で理論・実験の融合型研究が立ち後れている原因の一つは、日本では一本の道を究めるプロが高く評価されて、幅広い分野の知識をもとにフットワークを軽く分野を飛び移っていくような人材があまり評価されないという一般的な構造が挙げられるでしょう。より具体的な原因は、日本の大学や大学院では分子生物学をベースとした生命科学以外の教育を受ける機会があまりに少ないことにあるでしょう(生物物理や電気生理のラボに所属しないかぎり、基礎的な物理や数学の知識を習得する機会はほとんどありません)。
目的
本チュートリアルでは、"数理を取り入れたら面白そうな気もするけど何から始めたらよいのかわからない!"という実験家のみなさんにご要望に応えるべく、実験家が理論家と共通言語で話せるようになるための基礎知識(の習得方法)を提供することを目指します。結果として、日本における理論と実験の融合研究を少しでも促進できればと願っています。
内容
なぜ実験研究者は理論がわからないのか?、どうやって理論を勉強すればよいのか?(教科書を挙げるところから)、などなど。
すでに理論家と共同研究を始めている実験家のレベルに合わせるのではなく、初歩的な内容を扱います。実験家が数理的思考を養うための体系的な試みは、日本ではほとんどなされてません。本チュートリアルでは初歩的な内容を扱うことにより、"実験家が数理的思考様式を会得するためのカリキュラム"の土台を構築することを目指します。
すでに理論家と共同研究を始めている実験家のみなさんにとっては、周りの実験家に自分の仕事を理解してもらうにはどうしたらよいか?という点で参考になるチュートリアルになればよいなと考えています。
より詳しい内容は順次このページにupしていきます。
企画担当者
- 杉村 薫 (理研)
- 石原 秀至(東大総合文化)