Difference between revisions of "2019 caravan session2"

From Japanese society for quantitative biology
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==10:00-10:30 「GPCRの細胞内1分子動態から薬効を読み解く」==
 
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*柳川 正隆(理研)
 
*柳川 正隆(理研)
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*要旨:Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は主要な薬の標的分子である。GPCRの下流のシグナル伝達経路はGタンパク質共役特異性により異なるため、単一手法で任意のGPCRの活性を評価することは難しい。また、1つのGPCRがGタンパク質・アレスチンを介して複数のシグナル伝達経路を活性化することが広く知られており、経路選択的活性(シグナルバイアス)を持つリガンドも様々なGPCRで同定されている。したがって、近年では1つの化合物の薬効を評価するために、複数の細胞応答を計測することが求められる。
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本研究では、GPCRの細胞膜中の1分子拡散動態と機能状態の関係を全反射蛍光顕微鏡計測により解析した。その結果、共役するGタンパク質の種類を問わず、多くのGPCRに共通してアゴニスト依存的に拡散が遅い分子の割合が増えることが明らかになった。さらに、S1PR1をモデルとした詳細な解析からは、リガンドが引き起こす複数の薬効(Gi活性・アレスチン結合・エンドサイトーシス)を単一計測で推定し、シグナルバイアスを1細胞レベルで評価できることが明らかになった。本発表では、1分子イメージングを利用した網羅的なGPCR計測と化合物スクリーニングに向けての展望についても議論したい。
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*参考文献
 
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**Yanagawa et al., Single-molecule diffusion-based estimation of ligand effects on G protein–coupled receptors. Science Signaling (2018)
  
 
==10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化==
 
==10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化==

Revision as of 09:51, 28 August 2019

セッション2 「飛躍する定量化技術(仮)」11/7午前

10:00-11:30
Chair: TBA

10:00-10:30 「GPCRの細胞内1分子動態から薬効を読み解く」

  • 柳川 正隆(理研)
  • 要旨:Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は主要な薬の標的分子である。GPCRの下流のシグナル伝達経路はGタンパク質共役特異性により異なるため、単一手法で任意のGPCRの活性を評価することは難しい。また、1つのGPCRがGタンパク質・アレスチンを介して複数のシグナル伝達経路を活性化することが広く知られており、経路選択的活性(シグナルバイアス)を持つリガンドも様々なGPCRで同定されている。したがって、近年では1つの化合物の薬効を評価するために、複数の細胞応答を計測することが求められる。

本研究では、GPCRの細胞膜中の1分子拡散動態と機能状態の関係を全反射蛍光顕微鏡計測により解析した。その結果、共役するGタンパク質の種類を問わず、多くのGPCRに共通してアゴニスト依存的に拡散が遅い分子の割合が増えることが明らかになった。さらに、S1PR1をモデルとした詳細な解析からは、リガンドが引き起こす複数の薬効(Gi活性・アレスチン結合・エンドサイトーシス)を単一計測で推定し、シグナルバイアスを1細胞レベルで評価できることが明らかになった。本発表では、1分子イメージングを利用した網羅的なGPCR計測と化合物スクリーニングに向けての展望についても議論したい。

  • 参考文献
    • Yanagawa et al., Single-molecule diffusion-based estimation of ligand effects on G protein–coupled receptors. Science Signaling (2018)

10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化

  • 神田 元紀(理研・BDR)
  • 要旨:多くの基礎研究は熟練技術者の匠の技によって支えられており、抱える暗黙知の開放、教育コストの解消が急務である。我々はこれらの問題を解決する手段としてロボットによる実験の自動化・高度化・共有化を提案している。本研究では、モデル実験としてiPS細胞の分化誘導を汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」に写し取ることを試みた。まず、ヒトiPS細胞から網膜色素上皮細胞への分化誘導培養のプロトコルをロボットに実装し、播種・培地交換・継代操作を伴う分化誘導操作を自動化を達成した。次に、より最適な分化誘導パラメータを探索し、プロトコルを高度化できるかを試みた。分化した網膜色素上皮細胞の指標のひとつである、分化誘導細胞中の着色した細胞の数を評価値として、実験計画法などを用いて機械的にパラメータ空間を探索したところ、生化学的指標および顕微鏡観察による形態観察において熟練培養技術者と同等の分化誘導効率を示す実験条件を得られた。これにより実装したプロトコルを機械的な方法で高度化する方法が実証された。ロボットが熟練者相当の手技を獲得したということは、熟練した培養技術をもたない研究者でも熟練者相当の品質の分化誘導細胞を用いた研究を実施できる共有環境が実現したと言え、共有化も達成された。このようにロボットへの実験の実装はただ単にその実験だけが自動化されるものではなく、高度化・共有化により全ての研究者の研究が加速されうるものと考えている。本研究のほかにも、すべての研究者がオープンかつフラットに第一線の技術を使うことができる次世代型実験環境「ロボット実験センター・プロトタイピングラボ」の概要とその開発状況を紹介するとともに、その先に拓かれるサイエンスの未来について議論したい。
  • 参考文献

11:00-11:30 「UAV空撮画像による大規模圃場の作物生長計測」

  • 杉浦  綾(農研機構・RCAIT)
  • 要旨:北海道十勝地域の畑作地帯では農家一戸当りの平均耕地面積が40haを超え、現在も規模拡大を続けている。すでに圃場状態を人の目で把握し記憶できる規模を超えており、きめ細かい圃場観測・栽培管理が困難な状況である。一方で、作物生育や作付状況などの圃場情報を客観的データとして蓄積し、その分析結果を圃場管理に活用したいという要望があり、圃場作物の状態を効率的に計測できる技術が求められている。本研究では画像により圃場や作物の状態を迅速に収集できるものを目指し、そのプラットフォームとして小型無人航空機(UAV、ドローン)を導入した。圃場作物の生長量の計測や、病害発生の検出など、これまでに行ったUAV空撮画像の応用事例について紹介する。
  • 参考文献
    • 杉浦綾 (2017) ドローン空撮画像による高速フィールドフェノタイピング. 日本ロボット学会誌, 35(5),369-371.
    • Ryo Sugiura, et al. (2016) Field phenotyping system for the assessment of potato late blight resistance using RGB imagery from an unmanned aerial vehicle. Biosystems Engineering 148, 1-10.
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