Difference between revisions of "2019 caravan session2"

From Japanese society for quantitative biology
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==10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化==
 
==10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化==
 
*神田 元紀(理研・BDR)
 
*神田 元紀(理研・BDR)
*要旨:多くの基礎研究は熟練技術者の匠の技によって支えられており、抱える暗黙知の開放、教育コストの解消が急務である。本研究では、iPS細胞の分化誘導をモデル実験として、汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」への匠の培養手技の写し取りを試みた。まず、ヒトiPS細胞から網膜色素上皮細胞への分化誘導培養のプロトコルをLabDroid「まほろ」に実装し、播種・培地交換・継代操作を伴う分化誘導に成功した。次に、ロボットにとってより最適な分化誘導パラメータを機械的に探索したところ、いくつかの生化学的指標および顕微鏡観察による形態観察において、熟練培養技術者と同等の評価値を示す実験条件を得た。ロボットが匠相当の手技を獲得したということは、熟練した培養技術をもたない研究者でも匠相当の品質の分化誘導細胞を用いた研究を実施できる環境が実現した、ということを意味する。本研究のほかにも、すべての研究者がオープンかつフラットに第一線の技術を使うことができる次世代型実験環境の概要とその開発状況を紹介するとともに、その先に拓かれるサイエンスの未来について議論したい。
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*要旨:多くの基礎研究は熟練技術者の匠の技によって支えられており、抱える暗黙知の開放、教育コストの解消が急務である。我々はこれらの問題を解決する手段としてロボットによる実験の自動化・高度化・共有化を提案している。本研究では、モデル実験としてiPS細胞の分化誘導を汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」に写し取ることを試みた。まず、ヒトiPS細胞から網膜色素上皮細胞への分化誘導培養のプロトコルをロボットに実装し、播種・培地交換・継代操作を伴う分化誘導操作を自動化を達成した。次に、より最適な分化誘導パラメータを探索し、プロトコルを高度化できるかを試みた。分化した網膜色素上皮細胞の指標のひとつである、分化誘導細胞中の着色した細胞の数を評価値として、実験計画法などを用いて機械的にパラメータ空間を探索したところ、生化学的指標および顕微鏡観察による形態観察において熟練培養技術者と同等の分化誘導効率を示す実験条件を得られた。これにより実装したプロトコルを機械的な方法で高度化する方法が実証された。ロボットが熟練者相当の手技を獲得したということは、熟練した培養技術をもたない研究者でも熟練者相当の品質の分化誘導細胞を用いた研究を実施できる共有環境が実現したと言え、共有化も達成された。このようにロボットへの実験の実装はただ単にその実験だけが自動化されるものではなく、高度化・共有化により全ての研究者の研究が加速されうるものと考えている。
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本研究のほかにも、すべての研究者がオープンかつフラットに第一線の技術を使うことができる次世代型実験環境「ロボット実験センター・プロトタイピングラボ」の概要とその開発状況を紹介するとともに、その先に拓かれるサイエンスの未来について議論したい。
 
*参考文献
 
*参考文献
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** Yachie et al., Robotic crowd biology with Maholo LabDroids. Nature Biotechnology (2017)
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** 神田元紀「つくるよ!ロボット実験センター!」『日本バイオインフォマティクス学会ニュースレター 第35号』https://www.jsbi.org/files/3315/5614/9092/NL35_LD.pdf#page=7
  
 
==11:00-11:30 ==
 
==11:00-11:30 ==

Revision as of 04:43, 15 August 2019

セッション2 「飛躍する定量化技術(仮)」11/7午前

10:00-11:30
Chair: TBA

10:00-10:30

  • 柳川 正隆(理研):
  • 要旨:
  • 参考文献
    • 1.

10:30-11:00 汎用ヒト型ロボットによるiPS細胞培養の自動化・高度化・共有化

  • 神田 元紀(理研・BDR)
  • 要旨:多くの基礎研究は熟練技術者の匠の技によって支えられており、抱える暗黙知の開放、教育コストの解消が急務である。我々はこれらの問題を解決する手段としてロボットによる実験の自動化・高度化・共有化を提案している。本研究では、モデル実験としてiPS細胞の分化誘導を汎用ヒト型ロボットLabDroid「まほろ」に写し取ることを試みた。まず、ヒトiPS細胞から網膜色素上皮細胞への分化誘導培養のプロトコルをロボットに実装し、播種・培地交換・継代操作を伴う分化誘導操作を自動化を達成した。次に、より最適な分化誘導パラメータを探索し、プロトコルを高度化できるかを試みた。分化した網膜色素上皮細胞の指標のひとつである、分化誘導細胞中の着色した細胞の数を評価値として、実験計画法などを用いて機械的にパラメータ空間を探索したところ、生化学的指標および顕微鏡観察による形態観察において熟練培養技術者と同等の分化誘導効率を示す実験条件を得られた。これにより実装したプロトコルを機械的な方法で高度化する方法が実証された。ロボットが熟練者相当の手技を獲得したということは、熟練した培養技術をもたない研究者でも熟練者相当の品質の分化誘導細胞を用いた研究を実施できる共有環境が実現したと言え、共有化も達成された。このようにロボットへの実験の実装はただ単にその実験だけが自動化されるものではなく、高度化・共有化により全ての研究者の研究が加速されうるものと考えている。

本研究のほかにも、すべての研究者がオープンかつフラットに第一線の技術を使うことができる次世代型実験環境「ロボット実験センター・プロトタイピングラボ」の概要とその開発状況を紹介するとともに、その先に拓かれるサイエンスの未来について議論したい。

  • 参考文献

11:00-11:30

  • 杉浦  綾(農研機構・RCAIT)
  • 要旨:
  • 参考文献
北海道キャラバン2019ウェブサイト