Difference between revisions of "年会2009チュートリアル2"
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+ | * 朽名 夏麿 | ||
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=== チュートリアルの詳細 === | === チュートリアルの詳細 === | ||
(チュートリアル)画像解析アドバンスは(チュートリアル)画像解析入門を受け、より高度な画像解析技術について、3人程度の講演者によって紹介を行います。 | (チュートリアル)画像解析アドバンスは(チュートリアル)画像解析入門を受け、より高度な画像解析技術について、3人程度の講演者によって紹介を行います。 | ||
− | + | チュートリアルの主眼としては、画像解析技術を参加者に身につけてもらうというより、いかにして画像解析技術をバイオ研究の中で使いこなすのか、また高度な画像解析技術にどんなものがあるのか?、そしてそのような解析を行う際の実験面での注意点などを知ってもらうことを目的としております。 | |
− | + | したがって、内容は講義形式ではなく、複数の講演者によるオムニバス形式とします。 | |
== 発表内容 == | == 発表内容 == | ||
+ | ===導入: 高度な画像解析で何ができるのか?=== | ||
+ | *講演者:小林徹也 | ||
+ | *所属:東京大学生産技術研究所 | ||
+ | :画像解析は定量的な生命科学研究を遂行するためのコアとなるドライ技術です。具体的には画像解析によって、(1)現象の客観化、(2)無数のデータの自動取得、(3)視覚でとらえにくい特性の発見、の3つが少なくとも可能になると考えられます。本発表ではこの3つを概説するとともに、3人のメイン講演者の紹介をかねて、その関係性を話したいと思います。 | ||
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+ | ===顕微鏡画像から探る植物細胞の構造: 気孔研究における事例=== | ||
+ | *講演者:朽名夏麿1,2),桧垣匠1),佐野俊夫1,2),馳澤盛一郎1,2) | ||
+ | *所属:1: 東大・院新領域,2: JST BIRD | ||
+ | :バイオイメージングは多様な生命現象を網羅する研究手法である.近年,生体分子や細胞内構造の可視化法,撮像系の進歩,画像データベースの構築などが進展する一方,得られた画像に対しては定性的で主観的な評価を行なうに留まっている場合が多い.私たちは植物細胞の研究において,画像の持つ情報を活かした定量的で客観的な解析を実現するため,画像処理手法の導入に取り組んできた.本発表では,植物細胞の形態制御のモデル系として気孔の開閉を例にとり,連続共焦点像からの立体再構築を介したオルガネラと細胞骨格系の形状解析,細胞骨格系の配向パターンの定量,画像クラスタリングによる細胞内構造の状態分類について紹介する. | ||
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+ | === ショウジョウバエ器官形成の in vivo imaging === | ||
+ | * 講演者: 加藤輝,林茂生 | ||
+ | * 所属:RIKEN CDB | ||
+ | :動物の胚発生において,多数の細胞の秩序立った運動の結果として精緻な器官が構築される.ショウジョウバエ気管は,管状上皮が体中を網羅する立体的なネットワークであり,その基本的な構造は,胚発生期における気管前駆細胞の運動と,細胞接着を介した新たな管腔の開通によって構築される.我々は,これらの細胞の挙動及びその動的な変化を司る基盤を解明するため,気管細胞における細胞骨格系及び接着分子の動態とそれらが気管構築に与える影響について解析を行っている.本発表では,ショウジョウバエ生体胚内部の空間を移動する気管細胞及びその周囲の組織由来の細胞との関係について観察を行う,個体イメージング系の開発及びその結果について紹介する. | ||
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=== 時系列画像からの形態変化の定量・・・問題と解決方法=== | === 時系列画像からの形態変化の定量・・・問題と解決方法=== | ||
− | * | + | *講演者:塚田 祐基 |
− | + | :アブストラクト: 細胞の形態変化と、それを制御する分子シグナルの関係は非常に動的である。この関係を調べるためには、形態変化と分子シグナルを定量しなければならないが、形の変化や空間的な分子シグナルを一般的に定量し、関連付けることは難しい。これに対し、時系列画像から細胞形態の変化とその系譜を定量する画像処理技術(Edge Evolution Tracking: EET)を開発した。本発表では、EETの扱う問題と、アルゴリズムの概要、実際のデータに対して行った解析結果を紹介する。解析したデータは、分子活性を可視化する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により得られた、Rho GTPases活性分布の時系列画像であり、生データを見ただけでは明確にできなかったRho GTPases活性シグナルと形態変化の動的な関係を定量解析により明らかにする。 | |
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Latest revision as of 09:57, 24 December 2008
第一回年会 (チュートリアル2)画像解析アドバンス
企画担当者
- 小林徹也
- 塚田祐基
講演者一覧
- 塚田祐基
- 朽名 夏麿
- 加藤 輝
- 小林 徹也
チュートリアルの詳細
(チュートリアル)画像解析アドバンスは(チュートリアル)画像解析入門を受け、より高度な画像解析技術について、3人程度の講演者によって紹介を行います。
チュートリアルの主眼としては、画像解析技術を参加者に身につけてもらうというより、いかにして画像解析技術をバイオ研究の中で使いこなすのか、また高度な画像解析技術にどんなものがあるのか?、そしてそのような解析を行う際の実験面での注意点などを知ってもらうことを目的としております。
したがって、内容は講義形式ではなく、複数の講演者によるオムニバス形式とします。
発表内容
導入: 高度な画像解析で何ができるのか?
- 講演者:小林徹也
- 所属:東京大学生産技術研究所
- 画像解析は定量的な生命科学研究を遂行するためのコアとなるドライ技術です。具体的には画像解析によって、(1)現象の客観化、(2)無数のデータの自動取得、(3)視覚でとらえにくい特性の発見、の3つが少なくとも可能になると考えられます。本発表ではこの3つを概説するとともに、3人のメイン講演者の紹介をかねて、その関係性を話したいと思います。
顕微鏡画像から探る植物細胞の構造: 気孔研究における事例
- 講演者:朽名夏麿1,2),桧垣匠1),佐野俊夫1,2),馳澤盛一郎1,2)
- 所属:1: 東大・院新領域,2: JST BIRD
- バイオイメージングは多様な生命現象を網羅する研究手法である.近年,生体分子や細胞内構造の可視化法,撮像系の進歩,画像データベースの構築などが進展する一方,得られた画像に対しては定性的で主観的な評価を行なうに留まっている場合が多い.私たちは植物細胞の研究において,画像の持つ情報を活かした定量的で客観的な解析を実現するため,画像処理手法の導入に取り組んできた.本発表では,植物細胞の形態制御のモデル系として気孔の開閉を例にとり,連続共焦点像からの立体再構築を介したオルガネラと細胞骨格系の形状解析,細胞骨格系の配向パターンの定量,画像クラスタリングによる細胞内構造の状態分類について紹介する.
ショウジョウバエ器官形成の in vivo imaging
- 講演者: 加藤輝,林茂生
- 所属:RIKEN CDB
- 動物の胚発生において,多数の細胞の秩序立った運動の結果として精緻な器官が構築される.ショウジョウバエ気管は,管状上皮が体中を網羅する立体的なネットワークであり,その基本的な構造は,胚発生期における気管前駆細胞の運動と,細胞接着を介した新たな管腔の開通によって構築される.我々は,これらの細胞の挙動及びその動的な変化を司る基盤を解明するため,気管細胞における細胞骨格系及び接着分子の動態とそれらが気管構築に与える影響について解析を行っている.本発表では,ショウジョウバエ生体胚内部の空間を移動する気管細胞及びその周囲の組織由来の細胞との関係について観察を行う,個体イメージング系の開発及びその結果について紹介する.
時系列画像からの形態変化の定量・・・問題と解決方法
- 講演者:塚田 祐基
- アブストラクト: 細胞の形態変化と、それを制御する分子シグナルの関係は非常に動的である。この関係を調べるためには、形態変化と分子シグナルを定量しなければならないが、形の変化や空間的な分子シグナルを一般的に定量し、関連付けることは難しい。これに対し、時系列画像から細胞形態の変化とその系譜を定量する画像処理技術(Edge Evolution Tracking: EET)を開発した。本発表では、EETの扱う問題と、アルゴリズムの概要、実際のデータに対して行った解析結果を紹介する。解析したデータは、分子活性を可視化する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)により得られた、Rho GTPases活性分布の時系列画像であり、生データを見ただけでは明確にできなかったRho GTPases活性シグナルと形態変化の動的な関係を定量解析により明らかにする。