From Japanese society for quantitative biology

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セッション1 11/6午後

13:30-15:30
Chair: TBA

13:30-14:00 「細胞サイズ特異的な生体高分子溶液の相転移現象の解明から生命現象の物理的理解へ」

  • 柳澤 実穂(東京大・総合文化研究科):
  • 要旨:複雑な生命現象を物理的に理解するため、細胞内に存在する生体高分子溶液の振る舞いをボトムアップ的に解析する研究が進展してきている。ミリリットル量以上のバルク系とピコリットル量程度の細胞サイズ系では、生体高分子溶液の振る舞いが異なることが多数報告されてきている。例えば、リポソームなどの人工細胞中では、バルクと比べて、タンパク質発現加速(1)、高分子間の相分離誘起(2, 3)、生体高分子の相転移およびナノ構造転移の変化(3, 4)などが生じる。本講演では、こうした細胞サイズ特異的な生体高分子溶液の相転移現象と、細胞サイズ効果あるいは膜閉じ込め効果とも呼ばれる現象の要因について述べたい。
  • 参考文献
    • 1. A. Kato, et al., Sci. Rep., 2:283 (2012)
    • 2. M. Yanagisawa, et al., Int. Rev. Cell. Mol. Biol. (2014)
    • 3. M. Yanagisawa, PNAS, 111:15894-15899, (2014)
    • 4. A. Sakai, et al., ACS Cent. Sci., 4:477-483 (2018)

14:00-14:30 「細胞間の方向依存的な収縮力による上皮細胞の集団移動 」

  • 佐藤 勝彦(北大・電子研)
  • 要旨:我々、多細胞生物は、一つの受精卵からスタートし、細胞分裂を繰り返して、その形を作り上げていくが、その際、初期胚を覆っている上皮細胞シートが自発的に劇的に動くことが知られている(1)。我々は、その現象の中でも細胞シートの中の細胞が隣の細胞との接着を保持したまま一方向に集団で移動する現象(上皮細胞の集団移動)に注目し(2)、なぜ隣の細胞とくっついたままで(しかもしばしば基底膜がほとんどない状態で)移動することができるのかを物理の力学の視点から説明することを試みる。上皮細胞の持つ平面内極性と細胞間の収縮力が組み合わさると上皮細胞は細胞シートの構造を保ったまま集団として一方向に移動できることをvertexモデルと呼ばれる数理モデルによって示す(3,4)。
  • 参考文献
    • 1. Pilot, F. and Lecuit, T., Dev. Dyn. 232, 685-694 (2005).
    • 2. Sato, K., Hiraiwa, T., Maekawa, E., Isomura, A., Shibata, T. and Kuranaga, E., Nat. Commun. 6, 10074 (2015).
    • 3. Sato, K., Hiraiwa, T. and Shibata, T., Phys. Rev. Lett. 115, 188102 (2015).
    • 4. Okuda, S., Kuranaga, E. and Sato, K., Biophys J. 116, 1159-1170 (2019).

14:30-15:00 「Transient state (TRAST) monitoringを用いた生細胞内RNAフォールドの解析 」

  • 北村  朗(北大・先端生命科学研究院 )
  • 要旨:GGGGCCリピート(以下,G4C2リピート)などの核酸のグアニン(G)リッチな配列は,グアニン四重鎖と呼ばれる4本鎖構造を形成する傾向がある.しかしながら,、方法論的な制約により,生細胞内でのそのようなG4C2リピートの特定の構造に関する証拠はそれほど多く報告されていない.我々は,G4C2リピートRNAのグアニン四重鎖構造への変化を生細胞内で読み取るために, RNA鎖の立体構造に依存して,RNA鎖と融合した蛍光分子の分子内異性化による動的消光速度が変化すること利用してその情報を読み取ることを考えた.この動的消光速度を簡便に解説するための方法として,蛍光発色団の光化学過程における過渡状態が計測できるTRASTモニタリング法を使用した戦略を紹介する.TRASTモニタリングは,溶液のみならず生細胞でも様々な光化学過程の状態変化を読み取れることから,様々な生体分子構造変化や細胞内微環境の読み取りにも応用できる可能性があることも併せて紹介する.
  • 参考文献
    • 山本条太郎,北村朗,金城政孝,生物物理,59, 125-131 (2019)
    • Kitamura A. and Kinjo M., Int. J. Mol. Sci., 19, 964 (2018)
    • Sandén, T. et al., Anal. Chem., 79, 3330-3341 (2007).

15:00-15:30 「(原理的には)100%定量解析を可能にする人工細胞研究」

  • 車  兪澈(海洋研究開発機構)
  • 要旨:人工細胞研究は分子と遺伝子を組み合わせて生きた細胞の構築を目指す研究である。生命 システムが発現するための最小限の分子種やゲノムをボトムアップ的に特定することがで きることから、物質と生命現象の境界線をまたぐ研究として非常に興味深い。また初期地球 環境中で誕生したと考えられる初期生命の様相と相似形であると考えられており、生命の 起源研究でも大いに注目されている。現在までに、細胞サイズの膜小胞(GUV)内部でタン パク質合成や、リン脂質合成1、ダーウィニアン進化、エネルギー生産2 など細胞の持つ主要 な機能が再現されている3,4。 この人工細胞系は完全な再構築系であるため、原理的には定量化が可能である。特に最近 Berhanu らが発表した、「光依存的にエネルギーを生産しタンパク質合成を行う人工細胞」 では、ATP 合成からタンパク質合成までの生化学的反応を分子から再現しており、その中 では詳細な定量解析をも可能にしている。生きた細胞を使用した系ではどうしても定量的 にアプローチできない点も、人工細胞系を使用することでその素過程を細胞と同じ時空間 スケールの中で再現し、詳細に解析できるという一例を紹介したい。
  • 参考文献
    • Y. Kuruma, P. Stano, T. Ueda, *PL. Luigi, BBA-Biomem. 1788: 567-74 (2009)
    • S. Berhanu, T. Ueda and Y. Kuruma: Nat. Communs. 10, 1325 (2019).
    • Y. Kuruma, T. Ueda, Nature Protocols 10:1328–44 (2015)
    • H. Matsubayashi, Y. Kuruma, T. Ueda, Angew. Chem. 53:7535-8 (2014)
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