2016 8thbio tutorial

From Japanese society for quantitative biology
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チュートリアル 「実習の部」 9:00 - 12:00

サバイバル電子工作(再)~門外漢の門外漢による門外漢のための手抜きハードウェア制御入門~

  • 奥 寛雅 (群馬大学), 塚田 祐基 (名古屋大学)
  • 要旨:〇はじめに

第7回年会で好評を頂いた電子工作のチュートリアルを再度開催します。 前回、参加希望者多数につきやむなく抽選で受講者を決めさせて頂きましたが、前回参加できなかった方や、電子工作に興味があるけど始めるには敷居が高いなと感じている初心者の方などの参加を歓迎致します。

なお、内容はほぼ前回と同じになります。今回も参加人数に限りがありますので、前回参加された方は参加をご遠慮頂けますと幸いです。


〇開催趣旨 実験をしていると,照明とカメラを同期させたい,とか, ヒーターやポンプなどを一定時間ごとに作動させたい,とか ちょっとしたことを自動化したり,タイミングを合わせたいことがよくあります. ところが,こんなちょっとしたことでも,インターネットを調べると, やれトランジスタだ,プログラムだと,とても敷居の高い事柄が次々とでてきます. ただでさえ忙しいのにこんなところに時間をかけている暇はありません. 泣く泣く人間が気合いで頑張ったり,実験の設定を変更したり,という経験はありませんか?

このチュートリアルは,電子工作は知らないし知る気もない人が, 最低限の手間で簡単な機器制御を実現するための勘所を, 実物を使った「ハンダゴテ」フリーの実習を通して会得することを目的とするものです.

(注意1)なお,このチュートリアルの実習に参加を希望される方は, ページ下部「持参するもの」にあげる実習に必要なものを予め購入の上, 持参して頂くことが必要です.

(注意2)このチュートリアルは実習を主体とするため, 受講を希望される方があまりに多くなった場合は貴意に添えない場合がありますので, あらかじめご了承くださいませ.

〇内容予定 このチュートリアルでは,マイコンを用いた簡単なハードウェア制御を行います.

座学では, - (実験系)生物研究者がハードウェア制御を知る必要がある理由 - なぜPCではなくマイコンを利用するのか - よくある機器のインターフェース - 信号線と電力線 についてお話する予定です.

実習では, とても簡単に使えるマイコンボードであるArduino[1]を利用して, Arduinoの使い方, 外部機器のスイッチングを行う方法, またそのタイミングの制御方法を実習形式で体験します. 具体的には サッケードディスプレイ[2]と呼ばれる簡単なディスプレイを作ったり, カメラのシャッターのタイミングを制御したりする予定です.

〇受講に必要な知識:高校レベルの電気回路の知識

〇持参するもの(4点): (1) USBポートがあるノートPC (windows or mac) (注意)当日一斉にダウンロードすると会場のネットワーク帯域では足りない可能性があるので, あらかじめ以下のリンクからArduino IDEをダウンロードし,インストールしておいてください.

http://arduino.cc/en/Main/Software

(2) 制御用マイコン:Arduino nano 3.0 + PC接続用のUSBケーブル 例えばアマゾンだと2750円で売っているようです. http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88-SainSmart-Nano-ATmega328P%E6%90%AD%E8%BC%89-Arduino/dp/B00CJ7EARG/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1408702049&sr=8-1&keywords=arduino+nano

(3) 普通のブレッドボード switch science, 270円 http://www.switch-science.com/catalog/313/

(4) 普通のジャンパワイヤ 10本 switch science, 432円 http://www.switch-science.com/catalog/620/

  • 参考文献

[1]http://arduino.cc/

[2]渡邊淳司, 前田太郎, 舘日章: サッケードを利用した新しい情報提示手法の提案; 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.6, No.2, pp.79-87 (2001)


ImageJで「全力」で楽をする

  • 新井 由之 (大阪大学), 野中 茂紀 (基礎生物学研究所)
  • 要旨: 画像解析は、顕微鏡などで取得した画像から必要なデータを定量的に取得するために必須の作業である。様々な画像解析ソフト、プログラミング環境が存在しているが、その中でもImageJは科学画像データ解析ソフトウェアのデファクトスタンダードといえる(1)。ImageJはGUI (Graphical User Inteface)であるため操作はとっつきやすいが、マウスを使った動作では大量のデータを処理することは不利である。しかしながら、データ取得量の増大や、画像データの自動解析は必要不可欠な技術である。ImageJはマクロを利用することにより、さまざまな処理を自動化することが可能である。マクロの詳細やマクロの書き方など、豊富な資料がWeb上に掲載されている(2, 3)。本チュートリアルでは、ImageJの派生プロジェクトであるFijiを用いることで、豊富なマクロコマンドのうちキーとなる機能を紹介し、どのファンクションを使うことでどのような処理を行うことができるか、実演・実習を行う。さらに、ImageJの特色の一つに、プラグイン作成による機能拡張が容易である点があげられるが、Javaによる開発が必要であるため若干ハードルが高い。そこで、環境構築および、簡単なプラグイン作成の実際を紹介する。

本チュートリアルが想定する受講者は以下の通りである ・ImageJ (あるいはFiji)を普段の画像解析で利用している ・マクロを使ったことがある ・画像解析を全力で楽をしたい

本チュートリアルで利用するPCは、基生研で用意するため不要である。実習に使う資料などは事前に配布予定である。

  • 参考文献

[1]K. W. Eliceiri et al., Biological imaging software tools. Nat. Methods. 9, 697–710 (2012).

[2]Built-in Macro Functions, (available at https://imagej.nih.gov/ij/developer/macro/functions.html).

[3]K. Miura, Macro Programming in ImageJ, (available at http://wiki.cmci.info/documents/ijcourses#macro_programming_in_imagej).

初学者のための数理モデル構築&解析実習

  • 木村 暁(国立遺伝学研究所・総合研究大学院大学)
  • 要旨:「数学もプログラミングもよくわからないけど、自分の仮説・アイディア・モデルが定量的にどのような挙動を示すのか検討してみたい!」十数年前に博士号をとった時期の私が考えていたことです。それ以来、ポスドク先の研究室(大浪修一研究室)や定量生物学の会で知り合った方々に教えていただきながら、どうにかこうにか数理モデルを使って自分のアイディアをテストして、研究を展開することができるようになってきました。きちんとしたことを教わるには専門家に習うのが一番ですが、初学者が最初の一歩を踏み出すには、単純な問題を具体的に解析してみる体験が重要と考え、本チュートリアルを準備しました。本チュートリアルでは、私自身が数理モデルを構築した最初の研究課題でもある「細胞核の中央化機構」[Ref. 1]を例に、複数の候補仮説について数理モデルを構築し、数値シミュレーションなどを行い、比較することを行います。この体験を通じて、数理モデルを使った解析への敷居が低くなって、もっと勉強したいと思ってもらえれば幸いです。

必須ではありませんが、Microsoft ExcelとPython (例えば、www.continuum.io/downloadsからAnacondaをダウンロード、Ref. 2)がインストールされたパソコンを持参いただけると、チュートリアル中に自分で手を動かしながら体験ができ、より楽しめると思います。

  • 参考文献

[1]Kimura A. & Onami S. Computer simulations and image processing reveal length-dependent pulling force as the primary mechanism for C. elegans male pronuclear migration. Dev. Cell 8, 765-775 (2005)

[2]Kinder J.M. & Nelson P. A Student’s Guide to Python for Physical Modeling. Princeton University Press, 2015

[3]http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22582142