第3回年会セッション1

From Japanese society for quantitative biology
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第三回年会 (セッション1)工学技術と定量生物学

講演者: 津田行子(東大)、奥寛雅(東大)、竹本智子(理研)、安達泰治(京大)

日時

2010/11/27 10:30-12:00 セッション1

Chair

  • 木村啓志(東大)

概要

ボトムアップ組織構築のための細胞集団のマイクロ制御技術

  • 津田 行子 (東京大学 生産技術研究所)


顕微鏡の高速制御技術とその生物学への応用

  • 奥 寛雅 (東京大学大学院情報理工学系研究科)

光学顕微鏡は生命が持つ微細な構造を生きたまま観測できるため,生物学におい て非常に重要な測定機器である.しかし,その光学系がもつ限られた視野や浅い 被写界深度といった性質はしばしば厳しい制約条件となり,観測に困難を伴うこ とも少なくない.しかも,これらは高い解像力を持つ光学系特有の性質であるた め,光学系の工夫では解決できない問題である.

そこで我々は,このような光学顕微鏡が持つ困難を工学的なアプローチによって システムとして解決することを目指した研究をしている.これまで特に画像処理 技術を利用したシステムを構築してきているが,顕微鏡による像はその倍率ゆえ に通常のカメラ画像に比べて高速であることが多いため,ミリ秒での高速画像処 理・制御に注目してきた.本発表では,運動する対象を顕微鏡視野内に捕捉する ことで,対象を長時間連続的に観察できるようにする微生物トラッキング顕微鏡 と,高速なフォーカス制御を可能にする液体可変焦点レンズであるダイナモルフ レンズとその顕微鏡応用の可能性について紹介する.

細胞観察画像の定量解析のための注目点検出アルゴリズムの性能評価

  • 竹本 智子 (理化学研究所)


骨のリモデリングによる機能的適応のシステムバイオメカニクス

  • 安達泰治 (京都大学・理化学研究所)

海綿骨の骨梁構造が,骨に作用する荷重に対応した形態を有している ことが知られている.メカノスタット理論に代表されるように,あるリ モデリング平衡状態における骨梁内部の力学状態を参照して,骨の形成 や吸収を表現する数理モデルが,これまで数多く提案されてきた.また, 実験的検討により,細胞が力や変形を感知する力学刺激感知機構やメカ ノトランスダクション機構の詳細が少しずつ明らかになってきた.しか しながら,これらの詳細な機構が細胞・分子構造レベルにおいて機能し ているのに対して,骨の力学環境や機能は巨視的なレベルにあるため, 構造・機能の階層性を詳細に考慮してそれらをシステムとして捉えるこ となくしては,リモデリングによる機能的適応メカニズムを理解するこ とは困難である.そこで本講演では,古くからWolff's Law として知ら れる骨の適応仮説を理解するための一つのアプローチとして,骨を階層 性を有する力学構造システムとして捉え,骨細胞レベルの力学刺激感知 と細胞間情報伝達を考慮することで導かれる巨視的な力学状態の一様化 と骨梁形態リモデリング現象について,数理モデリングと計算機シミュ レーションを通じて考察する.

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