第五回年会 チュートリアル 画像解析

From Japanese society for quantitative biology
The printable version is no longer supported and may have rendering errors. Please update your browser bookmarks and please use the default browser print function instead.

第五回年会 チュートリアル

画像情報学研究者は何をやっているのか?

  • 講演者: 内田 誠一

 バイオロジー研究者の皆様はあまりご存知ないと思いますが,情報学には画像処理やパターン認識を専門にしている研究者が数多くいます.彼らは一体何を研究しているのでしょうか?画像処理というのは,文字通り,画像を処理して,見易くしたり,特定の物体を見つけたり,その物体の数や大きさを定量化したり,時には追いかけたりする技術です.一方のパターン認識というのは,言ってみれば「これは何?」とか「これはどんな状態?」という,人間の判断機構をコンピュータに模倣させる技術です.

 画像処理については,「そんなもの,もうできてそうじゃない?」というご意見もおありかと思います.しかし本当は,まだまだ性能不十分なのです.よく考えてください,お手元の画像処理ソフトに完全に満足でしょうか?皆さんの肉眼でアタリマエにカウントでき,追いかけられるものが,ソフトでは無理だったりしませんか?

 一方,パターン認識については,「人間の模倣なんて絶対無理だ!」というご意見があろうかと思います.確かに,完全に人間と同じものは難しいでしょう.しかし,ゆっくりと着実に近似しつつある,というのも本当です.デジカメの顔認識処理はその好例.はがきの郵便番号の自動認識は,人間のスループットをはるかに超える処理性能を実現しています.

 どうでしょう?画像処理やパターン認識研究が進んだら,バイオロジーにとっても,よいことが起こりそうな気がしませんか?肉眼では大変な大量画像処理が実現できたり,主観が邪魔して気づかなかった客観的事実を呈示してくれたり,対象の状態を自動判断してくれたり…

 残念ながら,バイオロジー研究者と情報系画像処理・認識研究者との交流は,まだ不十分のように見えます.「こんな画像処理,頼むのも申し訳ない」なんて先入観はありませんか?そんなことはないのです.バイオイメージは,本当に難しい対象で,既存の画像処理技術を単に組み合わせるだけでは手におえません.すなわち,情報系研究者にとっても,研究ネタの宝庫になる可能性が大いにあります.

 要するに,交流の加速のためには,「相手を知る」,すなわち,情報系画像処理・認識研究者が現在何をやっているかを知ることでしょう.本チュートリアルでは,それを概観するとともに,実際に交流を進化するための方法論について,紹介したいと思います.

参考文献
講演者の論文リストは [1] にあります.
また,バイオイメージインフォマティクスのページも立ち上がっています. [2]


第五回年会ページトップに戻る
go to English page