第七回年会二日目1

From Japanese society for quantitative biology
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チュートリアル 9:15-12:00

The 定量(The Quantification)

  • 講演者:青木一洋(京都大学大学院医学研究科 生命動態システム科学拠点

 時空間情報イメージング拠点)https://sites.google.com/site/qsimulationproject/

  • 要旨:昨今、生命科学研究を進めるにあたり、生命現象を定量することはほぼ必須のプロセスとなりつつあります。本発表では、実際にどのようにして生命現象を定量するのか、その方法論を実例を踏まえて紹介したいと思います。いわゆる古典的な生化学的な手法も説明します(これも大事です)が、最新のイメージングを使った定量法なども紹介したいと思います。対象としては、一細胞あたりのタンパク質の濃度、タンパク質間相互作用の強さ、細胞内のタンパク質分子の拡散速度、酵素反応速度といった反応速度論的なパラメーターから、より漠然とした現象の定量方法なども紹介する予定です。

生物のかたちづくりのモデリングの歴史:単純と複雑の循環

  • 講演者:三浦岳(九州大学)
  • 要旨:我々の体は複雑な形をしている.このようなかたちがどのように生じるのか、きちんと数理モデルを構築して理解しようという試みをして来た.私が参入した20年ほど前は発生生物学の実験屋と応用数学の理論屋はきれいに分かれていて、どのように共同研究するべきかだけでも大変な議論があった.しかし、2005年前後から分子生物学的な手法の限界が広く認知され、様々な人たちが参入するようになって来た.モデリングの手法自体も、数理解析の可能な単純なモデルから、多くの要素を含む計算主体のモデルに重点が移りつつある.本講演では、この分野にどのような必然性があって数理モデルが導入されて来たのか、その歴史を人物主体で概観し、今後の方向性について考えてみたい.


10分休憩

定量生物学におけるシステム同定(System Identification in Quantitative Biology)

  • 講演者:近藤洋平(京都大学 大学院情報学研究科)
  • 要旨:生命現象は複雑であり、そのダイナミクスを物理学的または生化学的に精確にモデリングすることは多く場合困難です。そのため定量生物学者は、現象の数理的・統計的解析のために多少なりとも恣意的なモデルを立てざるを得ません。そのような状況で有用なのが、データに基いて動的なシステムの数理モデルを構築するための方法論である、「システム同定」です。「システム同定」は元々工学分野で研究されてきましたが、生命現象のモデリングにも助けとなることが期待されており、事実そのような研究は数は少ないとはいえ着実に成果を挙げつつあります。しかしもちろん、システム同定の手法がどれほど有用であっても、生物学的意義のある研究を行うことは容易ではありません。どのようにシステム同定の手法が使える問題へと定式化するか、そして、どのように得られた結果を生物学的に理解するか、については個々の問題に応じたアイデアが必要になります。このような事情を踏まえ、本チュートリアルではシステム同定の基礎を、 定量生物学研究における実例とともに解説したいと考えています。

サバイバル電子工作~門外漢の門外漢による門外漢のための手抜きハードウェア制御入門~

  • 講演者:奥寛雅(群馬大学)
  • 要旨:

実験をしていると,照明とカメラを同期させたい,とか, ヒーターやポンプなどを一定時間ごとに作動させたい,とか ちょっとしたことを自動化したり,タイミングを合わせたいことがよくあります. ところが,こんなちょっとしたことでも,インターネットを調べると, やれトランジスタだ,プログラムだと,とても敷居の高い事柄が次々とでてきます. ただでさえ忙しいのにこんなところに時間をかけている暇はありません. 泣く泣く人間が気合いで頑張ったり,実験の設定を変更したり,という経験はありませんか?

このチュートリアルは,電子工作は知らないし知る気もない人が, 最低限の手間で簡単な機器制御を実現するための勘所を, 実物を使った「ハンダゴテ」フリーの実習を通して会得することを目的とするものです.

(注意1)なお,このチュートリアルの実習に参加を希望される方は, ページ下部「5. 持参するもの」にあげる実習に必要なものを予め購入の上, 持参して頂くことが必要です.

(注意2)このチュートリアルは実習を主体とするため, 受講を希望される方があまりに多くなった場合は貴意に添えない場合がありますので, あらかじめご了承くださいませ.

  • 内容予定

このチュートリアルでは,マイコンを用いた簡単なハードウェア制御を行います.

座学では, - (実験系)生物研究者がハードウェア制御を知る必要がある理由 - なぜPCではなくマイコンを利用するのか - よくある機器のインターフェース - 信号線と電力線 についてお話する予定です.

実習では, とても簡単に使えるマイコンボードであるArduino[1]を利用して, Arduinoの使い方, 外部機器のスイッチングを行う方法, またそのタイミングの制御方法を実習形式で体験します. 具体的には サッケードディスプレイ[2]と呼ばれる簡単なディスプレイを作ったり, カメラのシャッターのタイミングを制御したりする予定です.

  • 受講に必要な知識:高校レベルの電気回路の知識
  • 持参するもの(4点):

(1) USBポートがあるノートPC (windows or mac) (注意)当日一斉にダウンロードすると会場のネットワーク帯域では足りない可能性があるので, あらかじめ以下のリンクからArduino IDEをダウンロードし,インストールしておいてください. http://arduino.cc/en/Main/Software

(2) 制御用マイコン:Arduino nano 3.0 + PC接続用のUSBケーブル 例えばアマゾンだと1790円で売っているようです. http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88-SainSmart-Nano-ATmega328P%E6%90%AD%E8%BC%89-Arduino/dp/B00CJ7EARG/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1408702049&sr=8-1&keywords=arduino+nano

(3) 普通のブレッドボード switch science, 257円 http://www.switch-science.com/catalog/313/

(4) 普通のジャンパワイヤ 10本 switch science, 360円 http://www.switch-science.com/catalog/620/

  • 参考文献

[1] http://arduino.cc/ [2] 渡邊淳司, 前田太郎, 舘日章: サッケードを利用した新しい情報提示手法の提案; 日本バーチャルリアリティ学会論文誌, Vol.6, No.2, pp.79-87 (2001)

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